載籍浩瀚

積んで詰む

傑作(★★★★★)

倒叙ミステリを掌握する/石持浅海『君の望む死に方』

『君の望む死に方』は、石持浅海による倒叙ミステリのシリーズ、碓氷優佳シリーズの二作目である。 余命六カ月――ガン告知を受けたソル電機社長の日向は、社員の梶間に自分を殺させる最期を選んだ。日向には、創業仲間だった梶間の父親を殺した過去があったの…

樋口有介『夏の口紅』

青春ミステリが好きだ。とりわけ、家族や血の関係といった、力のない青春時代には切っても切ることのできない宿命的な関係に翻弄されながら、ひとつ、あるいはふたつほど、精神的成長を遂げるような青春ミステリが好きだ。そして本作『夏の口紅』は、まさし…

高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』

レビューにも紹介にもなっていない、インターネットへの壁打ち記事です。 --- まじもんの傑作。名前が自由であることや、独特な文体から小説、あるいは世界の形式をどうのこうのと凄さを言語化することはできてもーーとはいえ自分には手に負えないーーこの小…