載籍浩瀚

積んで詰む

青山剛昌『名探偵コナン』一巻〜五巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

第一巻

FILE.1 ◯ジェットコースター殺人事件 C+

 多分一番有名なやつ。情報的に犯人は明らかなんだけど殺人のトリックは面白い。よく思いついたと思う。

 

FILE.2-5 社長令嬢誘拐事件 E

 地味。犬による特定はいいけど、それ以上はない。今じゃ信じられないがコナンくんのキックに犯人が耐える。

 

FILE.6-9 アイドル密室殺人事件 C

 初めて江戸川コナンが挑んだ人死にの事件。沖野ヨーコと目暮警部が初登場。使い古されたトリックだけど、手がかりの配置が丁寧で良い。蝶ネクタイ型変声機も初登場。

 

第二巻

FILE.1-3 赤鬼村火祭殺人事件 D

 映像とか漫画のミステリで絶対にやるやつ。エラリー・クイーンとかコナン・ドイルが大好きなトリックをアリバイ崩しと組み合わせた。キック力増強シューズ初登場。小学校に通いだす。

 

FILE.4-7 ◯奇妙な人探し殺人事件 D+
 さらっと博士が呟いた言葉が後々重大な手がかりになるのがいい。二巻とかでしれっと出てきてるけど、宮野明美の事件として結構重要な回。犯人追跡メガネ初登場。発信器ってそういやコナンのボタンって設定だったな。

 

FILE.8-10 幽霊屋敷殺人事件 D

 少年探偵団初登場作。少年探偵団登場回は結構冒険するので好き。今回もその例に漏れず幽霊屋敷に冒険に出かけた先で事件に巻き込まれる。事件自体は些細だけど真相は結構重い。伸縮自在サスペンダー初登場。

 

第三巻

FILE.1-6 豪華客船連続殺人事件 A

 密室を開けるトリックは些細なモノだが、そこから広がるロジックが素晴らしい。疑われた容疑者が犯人じゃない証拠と犯人が犯人たる証拠の作り方が上手い。とにかく論理のアクロバットが冴え渡る一作。時計型麻酔銃初登場。

 

FILE.7-10 月いちプレゼント脅迫事件 D

 蘭がコナンを疑い始める。出だしのホームズ的演繹推理が面白い。いいよねああいうの(小並感)。本編の方は可もなく不可もなくという感じ。

 

第四巻

FILE.1-3 美術館オーナー殺人事件 B+
 噂の扱い方が上手い。あとダイイングメッセージからの特定が良い。推理小説ではダイイングメッセージから犯人を特定するのは良くない云々というのがあるけど、この論理は正しく犯人特定の論理だと思う。良い。

 

FILE.4-6 ◯新幹線大爆破事件 B

 これも特定のロジックが冴え渡った一作。ジンとウォッカの何気ない会話の節々から、取引相手を絞るやり方がべらぼうに上手い。コナンってこんなロジカルな作品だったっけ......。眼鏡に盗聴機能がついた。

 

FILE.7-10 大都会暗号マップ事件 C

 暗号モノ!米花市でコナンたち少年探偵団がお宝探しする話。暗号が形を変えるのが良い。

 

第五巻

FILE.1-5 山荘包帯男殺人事件 C

 鈴木園子さん初登場回。まさに"奇想"というトリックには苦笑しかないが(某作丸パクリだしね)、伏線の隠し方はうまいと思う。

 

FILE.6-9 カラオケボックス殺人事件 D+

 これもまた漫画ならではのトリック。とはいえトリックメインではなく、真相を暴いた先で見える物語こそが本命。これぞコナンだよなという一作。ちなみに一回目のクリスマス。

 

FILE.10-FILE.1 江戸川コナン誘拐事件 E+

 ついに悪どい商売をし始めた。別に謎解き要素はないんだけど、冒険要素が面白い。工藤優作、有希子初登場回。

 

名探偵コナン (1) (少年サンデーコミックス)