名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。
そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。
◯は黒ずくめ登場回。
第六巻
FILE.2-5 骨董品コレクター殺人事件 E
ダイイングメッセージが現れるトリック自体は面白いけど、犯人特定のロジックは甘々。動機まで考えると結構突っ込みどころ満載。
FILE.6-8 消えた死体殺人事件 D
ありがちな死体消失トリックながらそれを上手く見せている。無理あるでしょと言われたらそう思うけど。少年探偵団回。DBバッジ初登場。
FILE.9-FILE.1 天下一夜祭殺人事件 C
アリバイ崩し。とてもシンプルながら分かりやすいトリックを使っている。問題編/解決編の二話だけなら満足感がある。
第七巻
FILE.2-7 ピアノソナタ「月光」殺人事件 B+
有名な傑作。ピアノソナタ月光と共に人が殺されていく。現場に残るは謎の楽譜のみ、そこからコナンが解き明かすのは驚きの真犯人。めちゃくちゃ面白い。やっぱり話数がかかった作品は大体出来がいい。ただ割と綱渡りな推理だとは思う。
FILE.9-FILE.1 プロサッカー選手脅迫事件 E
新一に彼女が?!というのが引きでミステリはそこまでメインでもない。新一と蘭の絡みが見れる初期コナンでは割と貴重な回。
第八巻
FILE.2-7 闇の男爵<ナイトバロン>殺人事件 D
この時代にミステリツアーを扱った青山剛昌の先見性に驚きつつも、トリックと犯人自体はそこそこの内容。終わり方がいいよね。
FILE.8-10 6月の花嫁殺人事件 C
空き缶のラベルから犯人を特定していく論理が上手い。
第九巻
FILE.1-3 歩美ちゃん誘拐事件 E
「いざとなったらコナン君が守ってくれるもんね!」の回。ついにスケボーが登場してトムクルーズもびっくりのチェイスをしたりする。コナンといえばこれよ。
FILE.4-6 小五郎の同窓会殺人事件 D
毛利小五郎がめちゃくちゃかっこいい回。武蔵坊弁慶が死んだ状況を使ったはちゃめちゃなトリック。納得感はある。
FILE.7-FILE.1 資産家令嬢殺人事件 C
嵐の山荘タイプのクローズドサークル。暗闇を作り上げる原理とか、無理矢理溺死させたように見せるトリックとかはしょぼいけど、服に着いた水のシミから犯人を特定する方法は面白い。
第十巻
FILE.2-5 外交官殺人事件 B+
西の高校生探偵服部平次現るの回。そして何より工藤新一復活回。探偵同士のバトルって楽しいよね。推理合戦も楽しい。密室トリックを二つも用意して二人ともに推理をさせたのは偉いと思う。シンプルだけど盲点をついた心理的密室の代表作。カーも密室講義の中で心理トリックによる密室が世界一って言ってるし当然傑作。真実はいつも一つの初出しも多分ここ。
FILE.6-8 図書館殺人事件 C
少年探偵団回。別に謎解きじゃないんだけど、死体が隠された場所とか、最後犯人をやっつけるときのやつとか割と良いトリックを乱発した。少年探偵団は冒険してなんぼですね。
FILE.9-FILE.1 雪山山荘殺人事件 C+
ダイイングメッセージへの手がかりが光った回。突き詰めれば論理の詰めの甘さは見えるが、それでもあの謎めいたセリフと現場の状況を合わせて犯人への手がかりを示す手法はお見事。