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積んで詰む

青山剛昌『名探偵コナン』二十一巻〜二十五巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

 

第二十一巻

FILE.4-7 空飛ぶ密室 工藤新一最初の事件 C+

 数あるコナンの名作エピソードの中でトップクラスに好きな話。サブタイトルが「最初の挨拶」とホームズをパロりつつ、飛行機の中での事件という『雲をつかむ死』をパロるような贅沢三昧。使われた凶器自体も盲点だし、それに気づいたきっかけがシャーロック・ホームズばりの観察力だというのがいい。乾いた血痕、裏返しになったポケットとかそういう細かい部分が示す真相も好き。

 

FILE.8-10 本庁の刑事恋物語 D

 白鳥警部と佐藤刑事が本格的に関わってくる。事件自体はしょぼいけど、翻弄される高木刑事が見れるよ。

 

FILE.11-FILE.3 結婚前夜の密室事件 C

 見せかけのトリックと本命の手がかりの分離の仕方が上手い。とはいえ密室のこじ開け方にロマンがない。

 

第二十二巻

FILE4.-FILE.7 上野発北斗星3号 D

 昔書いた小説通りにことが運んでいく事件の謎を解くというもの。全く同じ通りに進む奇妙な雰囲気については夏冬感が漂ってるよね。

 

FILE.8-FILE.10 園子のアブない夏物語 D

 なぜ執拗に園子を狙うのかというのに、盗撮されたって勘違いするのは分かるんだけど、じゃあなぜ勘違いしたかというのが面白かった。京極真さま初登場。

 

第二十三巻

FILE.1-3 最後の上映殺人事件 C

 ピンボケの手がかりが上手い。かなり納得感のあるトリックだけど、今はもう出来ないトリック......。

 

FILE.4-9 二十年目の殺意 シンフォニー号連続殺人事件 C+
 最後の古川大のオチが好き。被害者に見せかけた犯人という手法、コナンではこういう長編モノでやりがち。

 

FILE.10-FILE.2 本庁の刑事恋物語2 D+

 タイムリミットまでに事件の真犯人を探す高木刑事と佐藤刑事の物語。サスペンスとして面白い。ただこのトリックも似たようなやつが過去にあったけど......。

 

第二十四巻

FILE.3-6 暗闇の中の死角 C

 消去法推理のお手本みたいな作品。

 

FILE.7-11 ◯黒の組織との再会 D+
 事件そのものは大したことがない。ハンカチの使い方はちょっとおしゃれだけど。それよりも話自体が面白い。雪の上に散る血、いいよね。

 

第二十五巻

FILE.1-3 よみがえる死の伝言 B

 暗号風なダイイングメッセージ自体が面白い。あと、アリバイを示すために用意したトリックも秀逸。

 

FILE.4-8 鳥取クモ屋敷の怪 D+
 最後のオチが素晴らしい。事件の密室トリックとかは相変わらずすごい複雑な物理トリックだけど......。

 

FILE.9-11 命がけの復活 [洞窟の探偵団/負傷した名探偵] C

 少年探偵団の暗号回。シンプルながらいい暗号。

 

 

名探偵コナン(24) (少年サンデーコミックス)