載籍浩瀚

積んで詰む

青山剛昌『名探偵コナン』二十六巻〜三十巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

 

第二十六巻

FILE.1-4 命がけの復活 [第3の選択/黒衣の騎士] D+

 工藤新一が謎を解く回は全部面白いんだよな。青酸カリと氷を使ったシンプルなトリック。新一に言わせた通り氷はミステリのトリックでも初歩中の初歩なんだけど、コナンではあんまり使われないよな。

 

FILE.5-7 命がけの復活 [帰ってきた新一…&約束の場所] D+
 これも新一の回。ただこっちに関してはさすがにラストシーンの方が印象深い。コナンに戻ってしまった新一が蘭に告げる言葉、いいよね。

 

FILE.8-10 意味深なオルゴール D

 暗号はともかく、作中のトリックは本陣殺人事件ばりの複雑な屋敷用トリック。それはそれとして早く走る老人の影の謎は面白い。

 

第二十七巻

FILE.1-3 容疑者・毛利小五郎 C

 シンプルだけに説得力の高い密室トリック。それと謎の「ハヤシ2」のメモ。毛利小五郎と妃英理の関係結構好きなんだよな。

 

FILE.4-6 本庁の刑事恋物語3 D+
 佐藤刑事の父が最後に残した謎の言葉と、今の東京を荒らす謎の放火魔、どっちもパッとしない出来ながら、高木刑事が頑張ったおかげでそこそこのクオリティになっている。でもカンオの謎はさあ......。


FILE.7-9 バトルゲームの罠 C

 「先入観」を使ったいいトリック。もちろん本腰入れて調べればすぐに犯人は分かるんだけど、それでもその先入観を裏返す手法はお見事。ジョディ先生の初登場。

 

FILE.10-FILE.2 きのこと熊と探偵団 D

 知られたい人にしか知られないようにするのが暗号。当たり前だけど暗号のあるべき姿はこれだということが分かる一作。

 

第二十八巻

FILE.3-5 偽りだらけの依頼人 D

 平次ママの登場。コナンでは新キャラが登場するたび不審者として登場しないといけないルールでもあるんか。

 

FILE.6-10 そして人魚はいなくなった B+

 最高。現実的でないことを除けばすごいミステリ。あり得ないことを消去し続けた先に残るのがどんなに信じられなくても真実、というホームズの名句を使った一作だけど、これもありえないことだろと思わんこともない。

 

FILE.11-FILE.2 封印された目暮の秘密 D

 目暮警部の帽子の謎が明かされる。おじさんがかっこいい回は名作。

 

第二十九巻

FILE.3-5 ◯謎めいた乗客 D

 その伝え方は流石にバレバレやろ。

 

FILE.6-8 消えなかった証拠 D

 犬って耳はいいんだろうか。

 

FILE.9-11 大阪三つの"K"事件 D

 人魚のときの返歌。あのトリックを二回で決めるコナンくんよ。

 

第三十巻

FILE.1-3 新幹線護送事件 D

 これもまあなんとも言えない暗号......。

 

FILE.4-7 集められた名探偵!工藤新一vs怪盗キッド B+
 暗号続きの中ではこれが一番良かった。殺人犯の特定も、暗号の正体も、うまく決まっていたと思う。

 

名探偵コナン(26) (少年サンデーコミックス)



青山剛昌『名探偵コナン』二十一巻〜二十五巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

 

第二十一巻

FILE.4-7 空飛ぶ密室 工藤新一最初の事件 C+

 数あるコナンの名作エピソードの中でトップクラスに好きな話。サブタイトルが「最初の挨拶」とホームズをパロりつつ、飛行機の中での事件という『雲をつかむ死』をパロるような贅沢三昧。使われた凶器自体も盲点だし、それに気づいたきっかけがシャーロック・ホームズばりの観察力だというのがいい。乾いた血痕、裏返しになったポケットとかそういう細かい部分が示す真相も好き。

 

FILE.8-10 本庁の刑事恋物語 D

 白鳥警部と佐藤刑事が本格的に関わってくる。事件自体はしょぼいけど、翻弄される高木刑事が見れるよ。

 

FILE.11-FILE.3 結婚前夜の密室事件 C

 見せかけのトリックと本命の手がかりの分離の仕方が上手い。とはいえ密室のこじ開け方にロマンがない。

 

第二十二巻

FILE4.-FILE.7 上野発北斗星3号 D

 昔書いた小説通りにことが運んでいく事件の謎を解くというもの。全く同じ通りに進む奇妙な雰囲気については夏冬感が漂ってるよね。

 

FILE.8-FILE.10 園子のアブない夏物語 D

 なぜ執拗に園子を狙うのかというのに、盗撮されたって勘違いするのは分かるんだけど、じゃあなぜ勘違いしたかというのが面白かった。京極真さま初登場。

 

第二十三巻

FILE.1-3 最後の上映殺人事件 C

 ピンボケの手がかりが上手い。かなり納得感のあるトリックだけど、今はもう出来ないトリック......。

 

FILE.4-9 二十年目の殺意 シンフォニー号連続殺人事件 C+
 最後の古川大のオチが好き。被害者に見せかけた犯人という手法、コナンではこういう長編モノでやりがち。

 

FILE.10-FILE.2 本庁の刑事恋物語2 D+

 タイムリミットまでに事件の真犯人を探す高木刑事と佐藤刑事の物語。サスペンスとして面白い。ただこのトリックも似たようなやつが過去にあったけど......。

 

第二十四巻

FILE.3-6 暗闇の中の死角 C

 消去法推理のお手本みたいな作品。

 

FILE.7-11 ◯黒の組織との再会 D+
 事件そのものは大したことがない。ハンカチの使い方はちょっとおしゃれだけど。それよりも話自体が面白い。雪の上に散る血、いいよね。

 

第二十五巻

FILE.1-3 よみがえる死の伝言 B

 暗号風なダイイングメッセージ自体が面白い。あと、アリバイを示すために用意したトリックも秀逸。

 

FILE.4-8 鳥取クモ屋敷の怪 D+
 最後のオチが素晴らしい。事件の密室トリックとかは相変わらずすごい複雑な物理トリックだけど......。

 

FILE.9-11 命がけの復活 [洞窟の探偵団/負傷した名探偵] C

 少年探偵団の暗号回。シンプルながらいい暗号。

 

 

名探偵コナン(24) (少年サンデーコミックス)

 

 

青山剛昌『名探偵コナン』十六巻〜二十巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

 

第十六巻

FILE.4-5 帝丹小学校七不思議事件 D

 小林先生が初登場。このときはまさか小林先生があそこまで出世するとは思わなかった。

 

FILE.6-9 コナンvs怪盗キッド C+
 ホームズの宿敵はモリアーティだが、クロスオーバーでルパンとのライバル関係を築いたように、コナンの宿敵は黒の組織であれど、ライバルにふさわしいのはやはり怪盗キッド。ブラウン神父の名台詞を借りて、颯爽と名探偵の前に現れた怪盗紳士、二人のライバル関係が始まる一作。

 

FILE.10-FILE.2 名陶芸家殺人事件 D

 あの遠隔殺人トリックはさすがに無理あるのではなかろうか......。

 

第十七巻

FILE.3-FILE.5 スキューバダイビング殺人事件 D+

 なんか平次初登場のところでやったトリックと似たようなやトリックを使ってる。ウミヘビの保管方法もマジ?って感じだけど、妃先生の指輪についてはすごい丁寧に描写されてた。

 

FILE.6 強盗犯人入院事件 D

 珍しく一話完結の掌編。面白いけどシュークリームの箱からあそこまで飛躍するんか......。

 

FILE.7-9 盗賊団謎の洋館事件 C

 "時計館"と言わんばかりの洋館に残された暗号の話。パズルっぽくて面白い。

 

FILE.10-FILE2 時代劇俳優殺人事件 D+

 バカトリック。昔読んだときはすげえ〜〜って思った記憶がある。今は違う意味ですげえ〜〜って思った。みんな大好き高木刑事の初登場回(結構遅いね)

 

第十八巻

FILE.3-5 初恋の人思い出事件 D

 今やったら明らかに不自然でバレバレなトリックだし、時代だよなあ......。

 

FILE.6-8 黒の組織から来た女 大学教授殺人事件[1] E+

 偽札の話。灰原哀ちゃん初登場。

FILE.9-FILE.1 ◯黒の組織から来た女 大学教授殺人事件[2] D+
 個人的には灰原哀初登場といえばこっちの事件が思い浮かぶ。チェスのコマと電話を使った密室トリックが光る。

 

第十九巻

FILE.2-FILE.4 ミステリー作家失踪事件 D

 暗号モノの労作。労作なのに、フランスが舞台ってところからあれを連想させる無理ゲーを仕込んでるのはもったいない気も。

 

FILE.5-FILE.8 浪速の連続殺人事件 C+

 冷静に見ると容疑者が一人しかいないので、犯人はあからさまだが、その意外性は作品随一。最後に平次が叫ぶ拳銃の所持が許されるのは警察だけという意味のセリフ、めちゃくちゃ記憶に残る。

 

FILE.9-FILE.1 競技場無差別脅迫事件 D

 犯人の特定の仕方が上手い。そしてなにより灰原さんが可愛い。コ哀とかいう罪深いカップリングよ......。佐藤刑事初登場。

 

第二十巻

FILE.2-6 奇術愛好家殺人事件 D

 またまた糸を使った物理トリックが出てくる。雪密室を作り上げるのだが、よくこんないくつもいくつも思いつくものだな......。

 

FILE.7-9 バスルーム密室事件 C

 さりげなく見せた手がかりの使い方がべらぼうに上手い。密室自体はとりわけすごいものでもないけど、証拠の見つけ方が秀逸。

 

FILE.10-FILE.3 青の古城探索事件 D+
 少年探偵団回はワクワクする法則に反しない冒険回。庭にある暗号を解くとお宝が!とかカラクリに支配された古城とかのシンプルさ、いいよね。

 

名探偵コナン(16) (少年サンデーコミックス)



青山剛昌『名探偵コナン』十一巻〜十五巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

 

第十一巻

FILE.2-4 テレビ局殺人事件 D

 わりと分かりやすいトリック。ただこれも絵じゃないとなかなか厳しい漫画ならではのトリックだと思う。それにしてもコナンくんの世界、一般人が銃持ちすぎ。

 

FILE.5-7 コーヒーショップ殺人事件 D

 小粒でよくあるトリックの応用編。とはいえメインはそちらではなく妃弁護士の初登場。それと蘭に関することには頭が働かないコナンくんが見れたりもする。

 

FILE.8-10 霧天狗伝説殺人事件 B

 人の手が届かない高い梁に吊るされた死体。この謎を解く時に出てくる物理トリックがはちゃめちゃで面白い。霧天狗伝説とも上手く絡められてある上に現場に残った謎だらけの手がかりが一つ一つはまる感覚が気持ちいい。

 

第十二巻

FILE.1-3 月と星と太陽の秘密 B

 博士のしょぼい暗号と、踊る人形リスペクトの面白い暗号を少年探偵団たちが解き明かす。暗号自体も面白いけど、暗号を解いた先に出てくる謎が面白い。

 

FILE4-6 ◯ゲーム会社殺人事件 E

 テキーラが出てくる。事件と使われているトリック自体はそこまででもない。黒ずくめの組織が取引に使っていた場所がカクテルっていうバーだったっのは驚き。

 

FILE.7-FILE.1 ホームズフリーク殺人事件 D+
 死体硬直を使った自殺に見せかけるトリックと、その後の爆破トリックは面白いけど色々無理ある気もする。あと動機がやばい。ここで平次に正体がバレる。

 

第十三巻

FILE.2-4 三つ子別荘殺人事件 D

 三つ子のうち誰が真犯人か探すアリバイ崩し。電話線にも電力が供給されてるっていう豆知識が手に入る。なるほどね。

 

FILE.5-7 イラストレーター殺人事件 C

 コナン大好き糸を使った物理トリックの一つ。糸と針でトリック作るのは時代遅れってよく言うけどコナン見てると単純に思いつかないだけなのではって思う。糸を使っても面白いものは面白いよ。トリックに使った材料を予測していくのが鮮やかで良い。

 

FILE.8-10 大怪獣ゴメラ殺人事件 D+
 殺人に至ってしまった経緯が物悲しい。あと足跡に使ったパーツをさりげなく示唆するように伏線が張られているのが見事。

 

第十四巻

FILE.1-3 追い詰められた名探偵 連続2大殺人事件[1] D+
 2大殺人事件というわりにいつもどおりな感じの回。蘭姉ちゃんに正体がバレかける。作中に出てくる暗号は有名なやつだけど、それが被害者のダイイングメッセージって特定するまでのロジックが結構面白い。

 

FILE.4-8 追いつめられた名探偵 連続2大殺人事件[2] C

 2大殺人事件のしっかりしている方。工藤パパとママが出てくる。工藤優作がめちゃくちゃかっこいい。出てくる派手な人物誤認トリック、若干無理があるかもだけどちゃんと納得感もある。

 

FILE.9-FILE.3 スキーロッジ殺人事件 C+

 またスキーロッジでの殺人事件に巻き込まれたコナン一行。消えた凶器の謎が光る。それはともかくこの回の目玉は探偵役を務めた蘭の仕草。犯人を名指すときのあのシーンはコナンでも屈指の名シーンだと思う。

 

第十五巻

FILE.4-6 人気アーティスト誘拐事件 D-

 結構無理筋な暗号が出てくる。

 

FILE.7-9 金融会社社長殺人事件 D

 密室×毒殺モノ。ハウダニットがメインでそれ自体は面白いけど、嫌な論理の飛躍の仕方が目立ってる。

 

FILE.10-FILE.3 名家連続変死事件 C+
 トリックのためのトリックという面白い試みが行われている。一方証拠品に関しては結構苦心したんだろうなあ......。「犯人を推理で追い詰めてみすみす自殺させちまう探偵は殺人者とかわんねーよ」という名台詞を吐くのもこの回。今読み返すと火事から月光の事件での苦い経験を思い出しての発言だと分かる。平次も出てくる。

 

名探偵コナン(11) (少年サンデーコミックス)

 

青山剛昌『名探偵コナン』六巻〜十巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

 

第六巻

FILE.2-5 骨董品コレクター殺人事件 E

 ダイイングメッセージが現れるトリック自体は面白いけど、犯人特定のロジックは甘々。動機まで考えると結構突っ込みどころ満載。

 

FILE.6-8 消えた死体殺人事件 D

 ありがちな死体消失トリックながらそれを上手く見せている。無理あるでしょと言われたらそう思うけど。少年探偵団回。DBバッジ初登場。

 

FILE.9-FILE.1 天下一夜祭殺人事件 C

 アリバイ崩し。とてもシンプルながら分かりやすいトリックを使っている。問題編/解決編の二話だけなら満足感がある。

 

第七巻

FILE.2-7 ピアノソナタ「月光」殺人事件 B+
 有名な傑作。ピアノソナタ月光と共に人が殺されていく。現場に残るは謎の楽譜のみ、そこからコナンが解き明かすのは驚きの真犯人。めちゃくちゃ面白い。やっぱり話数がかかった作品は大体出来がいい。ただ割と綱渡りな推理だとは思う。

 

FILE.9-FILE.1 プロサッカー選手脅迫事件 E

 新一に彼女が?!というのが引きでミステリはそこまでメインでもない。新一と蘭の絡みが見れる初期コナンでは割と貴重な回。

 

第八巻

FILE.2-7 闇の男爵<ナイトバロン>殺人事件 D

 この時代にミステリツアーを扱った青山剛昌の先見性に驚きつつも、トリックと犯人自体はそこそこの内容。終わり方がいいよね。

 

FILE.8-10 6月の花嫁殺人事件 C
 空き缶のラベルから犯人を特定していく論理が上手い。

 

第九巻

FILE.1-3 歩美ちゃん誘拐事件 E

 「いざとなったらコナン君が守ってくれるもんね!」の回。ついにスケボーが登場してトムクルーズもびっくりのチェイスをしたりする。コナンといえばこれよ。

 

FILE.4-6 小五郎の同窓会殺人事件 D

 毛利小五郎がめちゃくちゃかっこいい回。武蔵坊弁慶が死んだ状況を使ったはちゃめちゃなトリック。納得感はある。

 

FILE.7-FILE.1 資産家令嬢殺人事件 C

 嵐の山荘タイプのクローズドサークル。暗闇を作り上げる原理とか、無理矢理溺死させたように見せるトリックとかはしょぼいけど、服に着いた水のシミから犯人を特定する方法は面白い。

 

第十巻

FILE.2-5 外交官殺人事件 B+
 西の高校生探偵服部平次現るの回。そして何より工藤新一復活回。探偵同士のバトルって楽しいよね。推理合戦も楽しい。密室トリックを二つも用意して二人ともに推理をさせたのは偉いと思う。シンプルだけど盲点をついた心理的密室の代表作。カーも密室講義の中で心理トリックによる密室が世界一って言ってるし当然傑作。真実はいつも一つの初出しも多分ここ。

 

FILE.6-8 図書館殺人事件 C

 少年探偵団回。別に謎解きじゃないんだけど、死体が隠された場所とか、最後犯人をやっつけるときのやつとか割と良いトリックを乱発した。少年探偵団は冒険してなんぼですね。

 

FILE.9-FILE.1 雪山山荘殺人事件 C+
 ダイイングメッセージへの手がかりが光った回。突き詰めれば論理の詰めの甘さは見えるが、それでもあの謎めいたセリフと現場の状況を合わせて犯人への手がかりを示す手法はお見事。

 

名探偵コナン(7) (少年サンデーコミックス)

 

青山剛昌『名探偵コナン』一巻〜五巻

 名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。

 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。

 ◯は黒ずくめ登場回。

第一巻

FILE.1 ◯ジェットコースター殺人事件 C+

 多分一番有名なやつ。情報的に犯人は明らかなんだけど殺人のトリックは面白い。よく思いついたと思う。

 

FILE.2-5 社長令嬢誘拐事件 E

 地味。犬による特定はいいけど、それ以上はない。今じゃ信じられないがコナンくんのキックに犯人が耐える。

 

FILE.6-9 アイドル密室殺人事件 C

 初めて江戸川コナンが挑んだ人死にの事件。沖野ヨーコと目暮警部が初登場。使い古されたトリックだけど、手がかりの配置が丁寧で良い。蝶ネクタイ型変声機も初登場。

 

第二巻

FILE.1-3 赤鬼村火祭殺人事件 D

 映像とか漫画のミステリで絶対にやるやつ。エラリー・クイーンとかコナン・ドイルが大好きなトリックをアリバイ崩しと組み合わせた。キック力増強シューズ初登場。小学校に通いだす。

 

FILE.4-7 ◯奇妙な人探し殺人事件 D+
 さらっと博士が呟いた言葉が後々重大な手がかりになるのがいい。二巻とかでしれっと出てきてるけど、宮野明美の事件として結構重要な回。犯人追跡メガネ初登場。発信器ってそういやコナンのボタンって設定だったな。

 

FILE.8-10 幽霊屋敷殺人事件 D

 少年探偵団初登場作。少年探偵団登場回は結構冒険するので好き。今回もその例に漏れず幽霊屋敷に冒険に出かけた先で事件に巻き込まれる。事件自体は些細だけど真相は結構重い。伸縮自在サスペンダー初登場。

 

第三巻

FILE.1-6 豪華客船連続殺人事件 A

 密室を開けるトリックは些細なモノだが、そこから広がるロジックが素晴らしい。疑われた容疑者が犯人じゃない証拠と犯人が犯人たる証拠の作り方が上手い。とにかく論理のアクロバットが冴え渡る一作。時計型麻酔銃初登場。

 

FILE.7-10 月いちプレゼント脅迫事件 D

 蘭がコナンを疑い始める。出だしのホームズ的演繹推理が面白い。いいよねああいうの(小並感)。本編の方は可もなく不可もなくという感じ。

 

第四巻

FILE.1-3 美術館オーナー殺人事件 B+
 噂の扱い方が上手い。あとダイイングメッセージからの特定が良い。推理小説ではダイイングメッセージから犯人を特定するのは良くない云々というのがあるけど、この論理は正しく犯人特定の論理だと思う。良い。

 

FILE.4-6 ◯新幹線大爆破事件 B

 これも特定のロジックが冴え渡った一作。ジンとウォッカの何気ない会話の節々から、取引相手を絞るやり方がべらぼうに上手い。コナンってこんなロジカルな作品だったっけ......。眼鏡に盗聴機能がついた。

 

FILE.7-10 大都会暗号マップ事件 C

 暗号モノ!米花市でコナンたち少年探偵団がお宝探しする話。暗号が形を変えるのが良い。

 

第五巻

FILE.1-5 山荘包帯男殺人事件 C

 鈴木園子さん初登場回。まさに"奇想"というトリックには苦笑しかないが(某作丸パクリだしね)、伏線の隠し方はうまいと思う。

 

FILE.6-9 カラオケボックス殺人事件 D+

 これもまた漫画ならではのトリック。とはいえトリックメインではなく、真相を暴いた先で見える物語こそが本命。これぞコナンだよなという一作。ちなみに一回目のクリスマス。

 

FILE.10-FILE.1 江戸川コナン誘拐事件 E+

 ついに悪どい商売をし始めた。別に謎解き要素はないんだけど、冒険要素が面白い。工藤優作、有希子初登場回。

 

名探偵コナン (1) (少年サンデーコミックス)