載籍浩瀚

積んで詰む

2022年下半期読書記録

この時期になると、「師走は忙しい、街は慌ただしい」というキラーフレーズが頭のなかをリフレインする。卒業という明確な境をひとつ控えた年の瀬だからこそ、その慌ただしさは例年に比べより際立っている。とはいえ、なんとかのらりくらりと乗り切れた下半…

青崎有吾『11文字の檻』

青崎有吾による未収録短編集である。いわゆるミステリは三作のみ。ほかには百合短編がひとつ、二次創作がひとつ、そしてショートショートがみっつ収録されている。 ファンならば必読の短編集。ファンでなくとも、どうにかして「加速してゆく」と「11文字の檻…

村上春樹『風の歌を聴け』

数年前、村上春樹のレビューでもすれば自分も小説を読めるようになるのではないかと思って書いた雑文です。 --- 世界はこんなに騒がしいのに、自分の周りは寂寞としている。こういう時、僕は本に寄る辺を求める。何も考えずに読める本がいい。だから僕は村上…

高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』

レビューにも紹介にもなっていない、インターネットへの壁打ち記事です。 --- まじもんの傑作。名前が自由であることや、独特な文体から小説、あるいは世界の形式をどうのこうのと凄さを言語化することはできてもーーとはいえ自分には手に負えないーーこの小…

ミステリベスト2022

新刊マラソンの感想です。ランキング候補のレギュレーションは以下の通りになります。 2021年10月以降、2022年9月までに発売された本であること。 筆者がミステリだと感じた作品。 国内総合部門、国内本格ミステリ部門、海外総合部門の三つの部門を用意しま…

ジョン・スラデック『見えないグリーン』

ミステリ好きの集まり“素人探偵会”が35年ぶりに再会を期した途端、メンバーのひとりである老人が不審な死を遂げた。現場はトイレという密室―名探偵サッカレイ・フィンの推理を嘲笑うかのように、姿なき殺人鬼がメンバーたちを次々と襲う。あらゆるジャンルと…

コナンをテクストにミステリ漫画の面白さについて語る

題名のとおりです。コナンをテクストにミステリ漫画の面白さについて語ります。といってもここで記すのはミステリ漫画の面白さのごく一部であり、総論的なものではありません。こういう読みかたもできるよね、という読みかたの整理の過程ともいえるでしょう…

なにわ男子を聴く。~ジャニーズと指示語・代名詞~

ジャニーズになにわ男子(以下なにわ)というアイドルグループがあります。現時点(2022/10/13)ではジャニーズメジャーデビュー組で一番の新顔みたいですが、一方で一番チケットが手に入りにくいといわれるほどに人気みたいです。 www.johnnys-net.jp 別に…

『天城一の密室犯罪学教程』索引

『天城一の密室犯罪学教程』を読み返した。その備忘録として教程ならびに密室作法〔改訂〕で紹介されている作品を以下にリストアップする。この際、邦題は最新のものに揃え、またリストはトリック別によるネタバレを回避するために登場順ではなく五十音順に…

社会の死角/沢木耕太郎『人の砂漠』

おそらく、人は誰しも無垢の楽園から追放され、「人の砂漠」を漂流しなくてはいけないのだ。——沢木耕太郎 個々人が属している社会には、それぞれに特有の死角が存在する。たとえばわたしの社会では、ロシア領の近くで漁を営む人々の社会は死角になっていた。…

2022年上半期読書記録

道中では忙しく感じたものの、振り返って見れば緩やかだったような気もする上半期。その期間中に読了した本の中で、新しく読んで感銘を受けたもの、再読により理解を深め評価を改めたもの、あるいは再度その完成度の高さに戦いたものを集めた。 長編・短編十…

村田沙耶香『信仰』

「"現実"は決して強固な実体じゃない。極論すればそれは、社会というシステムが人々に見せている一つの巨大な幻想にすぎない」 ——綾辻行人『時計館の殺人』 凡そ事信じ能はざる者は不幸なるかな ——内村鑑三「懐疑の精神」 村田沙耶香の作品には現実と虚構を…

伏線か物語か/梶龍雄『龍神池の小さな死体』

「トクマの特選!」というレーベルがある。絶版になっていて手に入りにくい名作昭和ミステリを、現代風に復刊している非常に優秀な文庫レーベルなのだが、そこが今回梶龍雄の『龍神池の小さな死体』を復刊させた。ミステリマニアの中では、傑作なのにも関わ…

『紙魚の手帖 vol.2』2021年12月号

一体いつの『紙魚の手帖』だ? と自分でもなってますが、とりあえずこういうのは続けるのが大事なので、投稿します。エタらないことこそが命! 『紙魚の手帖 vol.2』 『紙魚の手帖 vol.2』 ネタバレなし感想 「羅馬ジェラートの謎」米澤穂信 「百円玉」村嶋…

『紙魚の手帖 vol.1』2021年10月号 

『ミステリーズ!』が終わり、新たに総合文芸誌として刊行された『紙魚の手帖』。その創刊に立ち会えたので、折角ならと、レビューの練習もかねて読書記録を残すことにします。 『紙魚の手帖 vol.1』 『紙魚の手帖 vol.1』 ネタバレなし感想 「三人書房」柳…

2021年上半期読書記録

新刊は1年通して記録をつけるという無駄な信念があるので新刊を除いた上半期分の読書記録です。 全体的な傾向としては未読作を読むよりも既読作を再読した方が多かった気がする。まあ読書会とかがいっぱいあったり、その準備をしたりしたのが影響してそう。…

『花束みたいな恋をした』

『花束みたいな恋をした』という映画を観た。基本恋愛邦画についてはあまり期待していない側の人間*1だったが、同じくそういう側の人たちから聞こえてきた触れ込みは概ね上出来であるという評のようで、これはチェックしにいかなければという気が芽生えたの…

谷川流『涼宮ハルヒの直観』(あるいはミステリブックガイド)

待望の新刊である。マジで驚愕から何年経ったんだよという感じだが、九年半くらいしか経ってなかったらしい。(でもAnotherより中断期間長いと思うとやっぱ長いな) 谷川流の名前自体は、所々で目にしていたので生存確認は取れていたのだが、ようやく新刊が出…

青山剛昌『名探偵コナン』九十一巻〜九十八巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』八十一巻〜九十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』七十一巻〜八十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』六十一巻〜七十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

『神様になった日』初回感想

愚かな人類の選択のせいで世界は終わる――。 一か月後に世界が終わる。それを知っているのは世界で自分だけで、自分のそばには「神」と名乗る謎の少女がついてくる。 『CLANNAD』や『Angel Beats!』を語った麻枝准というシナリオライターが、原点に立ち返って…

青山剛昌『名探偵コナン』五十一巻〜六十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』四十一巻〜五十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』三十一巻〜四十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』二十六巻〜三十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』二十一巻〜二十五巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』十六巻〜二十巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…

青山剛昌『名探偵コナン』十一巻〜十五巻

名作ミステリ漫画『名探偵コナン』。作者である青山剛昌はミステリというよりラブコメなんて言っちゃってるが、実際にはミステリとして出来がいい作品も多い。 そこでA〜Eという評価軸に物語の良し悪しの+/-を加えて既刊を振り返っていきたい。 ◯は黒ずく…