載籍浩瀚

積んで詰む

折原一『七つの棺 密室殺人が多すぎる』

 叙述トリックの名手折原一が密室に挑んだ、密室愛好家による密室愛好家のための贅沢な短編集。パロディやオマージュも豊かで、密室好きのみならず古典本格ミステリ好きならばにたりとするネタ満載の一作だ。

 トリックが偶然に頼りすぎているものも多く、また納得の程度として苦笑せざるを得ないものもあるが、密室のバラエティは豊かであり「脇本陣殺人事件」など密室短編としてよくできたものも収録されている。これ一冊で類別トリック集成に大別されているトリックを大部分概観できてしまうのはお手軽でお得だろう。密室が好きというかたは読んで損はない。密室講義を広く集めた創元推理文庫版の解説も必読。