載籍浩瀚

積んで詰む

Entries from 2023-01-01 to 1 year

2023年に見た面白い映画

2023年に見た映画のうち面白かったものおよそ10作ほど挙げる。今年こそは100本見るぞなんて意気込んでいたけれども、ふたを開けてみれば遠く及ばなかった。まあでも気ままに見れたので良しとする。 なんとなく面白かった順に。 名探偵コナン 黒鉄の魚影 www.…

ミステリベスト2023

新刊マラソンの個人的な整理をする。対象となる本のレギュレーションは以下の通りだ。 2022年10月以降、2023年9月までに発売された本であること。 筆者がミステリだと感じた作品。 昨年同様国内総合、国内本格ミステリ、海外の三つのジャンルでランキングを…

折原一『七つの棺 密室殺人が多すぎる』

叙述トリックの名手折原一が密室に挑んだ、密室愛好家による密室愛好家のための贅沢な短編集。パロディやオマージュも豊かで、密室好きのみならず古典本格ミステリ好きならばにたりとするネタ満載の一作だ。 トリックが偶然に頼りすぎているものも多く、また…

マーティン・エドワーズ『処刑台広場の女』を読んだ。

あらすじ 1930年、ロンドン。名探偵レイチェル・サヴァナクには、黒い噂がつきまとっていた。彼女は、自分が突きとめた殺人者を死に追いやっている――。レイチェルの秘密を暴こうとする新聞記者ジェイコブは、密室での奇妙な自殺や、ショー上演中の焼死といっ…

倒叙ミステリを掌握する/石持浅海『君の望む死に方』

『君の望む死に方』は、石持浅海による倒叙ミステリのシリーズ、碓氷優佳シリーズの二作目である。 余命六カ月――ガン告知を受けたソル電機社長の日向は、社員の梶間に自分を殺させる最期を選んだ。日向には、創業仲間だった梶間の父親を殺した過去があったの…

一年で五十回のミステリ読書会をやった話

去年の四月下旬に毎週読書会をやろうといって、一年とちょっとが経った*1。読み逃していた(あるいはもう覚えていない)古典ミステリ*2を網羅的に読むのが主目的で、ほかにはいかにしてミステリができてきたのかという文脈を追おうとしたのがこの読書会だ。…

ジャンル破壊について/森バジル『ノウイットオール』

第30回松本清張新人賞受賞作。阿部智里、辻村深月、米澤穂信、森絵都、森見登美彦の五人への「挑戦状」だ! と高らかに大きく記載された帯が印象的だ。「挑戦状」の意味は明白。この小説が五つのジャンルからなっており、意識してかせざるか、その五つという…

2023年上半期読書録

時間が取れなさそうなので(これをいうのが悲しい)取り急ぎ備忘録的にリストのみ作る。あまり読めていないので(これを以下略)長編短編各十作ずつ。 長編 樋口有介『夏の口紅』 長谷敏司『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』 大森藤ノ『ダンジョンに出会…

Q・パトリック『Re-ClaM eX Vol.4』

海外クラシックミステリを紹介する同人サークル、Re-ClaM編集部による同人翻訳誌『Re-ClaM eX』の第四巻。これまででセイヤーズやホック、H・C・ベイリーなどの未邦訳作品が紹介されてきた『Re-ClaM eX』が今回取り上げたのは〈ダルース夫妻〉シリーズでおな…

「平行な私たちと、斜めなPたん」/改めて【NOT≠EQUAL】を読む

シャニマスサブスクめちゃくちゃ解禁&もうそろそろの5thおめでとうございます。 ビックウェーブに乗ってわくわくシャニマス胡乱話をします。評論でもレビューでも分析でも考察でも当然批評でもなく、牽強付会な都市伝説みたいな話です。都市伝説というか、…

樋口有介『夏の口紅』

青春ミステリが好きだ。とりわけ、家族や血の関係といった、力のない青春時代には切っても切ることのできない宿命的な関係に翻弄されながら、ひとつ、あるいはふたつほど、精神的成長を遂げるような青春ミステリが好きだ。そして本作『夏の口紅』は、まさし…